美しい、だけじゃない。ラファエル前派の軌跡展へ行ってきたよ!

どうもあっきーです!

今回は三菱一号館美術館で2019年3月14日~6月9日まで開催されている「ラファエル前派の軌跡展」へ行ってきました。

何といっても今回は僕が今まで見てきた展覧会の中でも作品数がおよそ150点と圧倒的に多く、じっくり見て回ったら4時間くらい経ってました(笑)

作品が多いので今回も僕が良かったと思ったものだけ紹介していきたいと思います。

三菱一号館美術館 公式HP

そもそもタイトルにもある「ラファエル前派」とは何なのかについてからお話ししていきたいと思います。

 

ラファエル前派とは?

ラファエロより前の簡素な表現を!

正しくは「ラファエル前派同盟」

同級生であるロセッティ、ミレイ、ハントを中心に1848年に結成されました。

彼らはアカデミー(美術学校)の生徒でしたがアカデミーの偉い人達はイタリア、ルネサンスを代表する画家ラファエロ・サンティを手本にしていて、

「彼のような表現方法で描くべきである!」

として新しい表現は認めませんでした。

それに反発した彼らは、

「古い伝統にとらわれていてはダメだ!」

とラファエロより前の「簡素で誠実な表現方法」を目指しました。

ウィリアム・モリス、エドワード・バーン・ジョーンズはロセッティの思想に影響を受けた第二世代と呼ばれています。

アーツアンドクラフツ運動

19世紀後半のイギリスは産業革命により、機械化が進み都市はどんどん発展していきました。

豊かになった反面、それと引き換えに大気汚染や大量生産により質の低下した商品が多く出回ったり、職人の仕事が奪われてしまったり、失ったものもありました。

そんな中中産階級に位置する人たちが美術品を集めたいという思いから美術品の需要が高まっていきます。

そして「伝統的な手仕事にこだわり、生活と芸術を一致」させようとします。これをアーツアンドクラフツ運動へと発展させ、現代の「デザイン」の概念の始まりとなりました。

 

作品

母と子(サクランボ)

フレデリック・レイトン

1864-65年

気だるそうに横たわる母にサクランボを口元へ運ぶ娘の姿を描いています。

背景には白鶴の屏風が描かれていて日本文化に影響を受けた証拠でしょうか。

主題はない絵のようですが、ゆったりとした時間が流れているような雰囲気を感じて見ていて心安らぐ1枚でした。

 

慈悲深き騎士

エドワード・バーン=ジョーンズ

1863年

カトリックの聖人である騎士ショバン二・グアルベルトは自分の兄弟を殺した男と出会い復讐の機会を得ましたが男を許しました。

その後、キリスト像に祈りを捧げているショバンニにキリストの彫像が彼に祝福の口づけをするシーンを描いています。

右奥には馬に乗り去っていく敵の姿が見えます。

兜を脱ぎ甲冑の姿でひざまずいて祈っている姿とキリストの抱き寄せる姿は、この絵を見た瞬間に心打つものがりました。

赦しの樹

エドワード・バーン=ジョーンズ

1881-82年

英雄の息子デモフォンの帰還を待つトラキア王女フュリスは待ちきれずとうとうに悲しみ暮れ自殺してしまいます。

彼女は神によってアーモンドの木に変身し、彼女の死を嘆き悲しんだデモフォンが木を抱きしめると彼女が再び姿をあらわしたというシーンです。

ギリシャ神話に基づいて描かれているようですが、物語と裸体の描き方が好きな1枚でした。

格子垣(壁紙)

モリス・マーシャル・フォークナー商会(モリス商会)

1867年

ウィリアム・モリスはデザイナー、工芸家、詩人、思想家など様々な顔を持っていました。

これは彼がモリス・マーシャル・フォークナー商会を設立して初めてデザインした壁紙です。

薔薇と格子垣をウィリアムモリスが、鳥は友人のフィリップ・ウェッブが描きました。

モリスは、

「役に立たないもの、美しいと思えないものは家に置いてはいけない」

と語っています。

現代人から見てもかわいくて普通にインテリアになじみそうなデザインですよね!

ジョージ・プライス・ボイスとファニ・コンフォース

 

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ

1859年頃

この構図めちゃめちゃ好きです。ペン画いいですね!

ラ・ドンナ・デッラ・フィネストラ(窓辺の女性)

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ

1870年

モデルの女性はウィリアム・モリスの妻ジェイン・モリスです。

画家ロセッティとジェイン・モリスは不倫関係にあったそうで、ロセッティが死ぬまでその関係は続いたそうです。

他にもジョン・ロバート・パーソンズなどもジェイン・モリスをモデルにした作品を描いています。

確かに魅力的ですね。ただ英国人っぽくない顔立ちですね。

ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ

1863‐68頃

今回の表紙となっている作品です。

描かれている物にも意味があり、左手に持っている「りんご」は最高の美人に与えられたとする神話に由来します。

右手に持っている黄金の「矢」は伝統的に愛を燃やすものとしてとらえられています。

矢に止まった「蝶」は魂や生と死・復活をあらわしています。

愛の矢で射抜かれた男の魂ということになるのでしょう。

背後のピンクの「薔薇」は愛を示しています。

手前下の「スイカズラ」は変わらぬ愛を示しています。

ロセッティにとってヴィーナスとは愛の女神という清らかなものではなく、りんごをちらつかせ男たちを翻弄する愛欲に満ちた女神像だったようです。

 

ジョン・ラスキン名言

美術評論家でありパトロンでもあり、ラファエル前派同盟の後押しに一役買ったラスキンは2019年、生誕200年ということで彼が美術家たちに与えた影響ははかり知れません。

夏目漱石やガンジーまでもラスキンの影響を受けたとされています。

いくつか名言を残しているので紹介します。

勤勉のない人生は罪であり、芸術のない勤勉は野蛮である

本当に悪い天気なんてものはない。ただ、さまざまな種類のよい天気があるだけだ

何を考え、何を知り、何を信じているかは、結局は取るに足らないことだ。唯一重要だと言えるのは、何をするかだ

 

 

最後に

ラファエル前派展どうでしたか?

他にも色々良かったんですが、僕はロセッティが一番心に残った作品がありましたね。

開催期間は6月9日までなので興味を持ったら是非足を運んでみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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